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ひとの死はこんなにも唐突に、 そして無情にも免れられないものなのだと知った。

一風変わったアルバイトを経験した

葬儀社探しをお手伝いするサービスを行なっている企業で、アルバイトとして働いた。

仕事内容は、事前相談で葬儀社探しの依頼をされたお客様のアフターフォローをするというもの。

軽い気持ちで応募した。

営業なし、高賃金、週3のシフト、電話対応マニュアル有り──
今思えば、かなり怪しい好条件。

入ってみると用意されていたのは、自分のデスクと一台のpc、テレホンヘッドセット、不完全なマニュアル。
そして、出来立てホヤホヤの新チームに、チーム長は新卒の上司。
(某大学のミスター候補だったらしい。自信満々の塩顔系。)

お客様とのコンタクト手段は電話のみ。

これが難しかった。

表情が伝わらない。相手の顔も浮かべられない。
だけど、意識して表情筋を動かした。

声のトーンを明るく、しかし御葬式に関するお話しをしていることを忘れないようにした

どうやったら興味を持たせられるか、次のトークを考え頭をフル回転……。

正直なところ、御葬式に関して無知でありすぎた。

終活をしているお客様の方が、何枚も上手だった。

こちらの意図を正確にお伝えできず、お客様にお叱りを受けることも度々あった。

電話をかける手が震えた。

隣で、前職ベテランコールセンターだった主婦さんが、易々と業務をこなしていく。

焦燥感と罪悪感。恐怖。

そんな日の、就業後のミーティングは気が重かった。

終活と寄り添う心

ある日、いつものようにお客様に電話をかけた。

しばらくコール音が続いた。

出る気配がなくまた日を改めようと思った矢先、

「……はい」

と女性の小さな声が聞こえた。

わたしは「もしもし、──」と定型文を読み上げた。

ひと段落して、お客様の反応を待った。
少し間があいて、小さな声が仰った。

「実は、昨日亡くなって」

わたしはハッと息をのんだ。

「これからお葬式なんです」

ひどく傷心しきった声だった。

そのお客様は、一ヶ月以上時間をかけて、お母様の終活をしたいと依頼された方だった。

それなのに。

たった一週間で亡くなってしまった。

「死亡確認が取れて、そしたらすぐに病院が用意した葬儀社で御葬式をする事になってしまいました」

よく聞く話だった。

まだ余命を言い渡されていないご家族は、葬儀社探しが二の次になりがちだ。

身辺整理をしたり、気持ちの整理をしたり、葬式だなんてとんでもないしそれどころじゃない。

そんな気持ちだ。

そして、突如訪れる最期の時。

死亡確認後、多くの場合病院での安置は難しく、
そのため現実を受け入れるより前に、もう黒服を着た葬儀社が待機しているのだそう。

力になることもできず、暖かい言葉をかけることもできず。

ただ、何事もなく無事に葬儀が終わることを願うばかりだった。

ひとの死はこんなにも唐突に、そして無情にも免れられないものなのだと知った。

樹木希林さんの

「死ぬときぐらい好きにさせてよ」

に学ぶ本当の終活

ここでいかに自分が終活を勘違いしていることが明らかになった。

終活とは、単純に自分のお葬式やお墓、遺産などについて準備しておくことだけではない。

人生をどのように仕舞いにするか。

自分のライフエンディングを自分でプロデュースしていくことなのだ。

こちらも参考にしてほしい。

これこそが終活である。

「最高の人生の見つけ方」

ひとりひとりが最高のライブエンディングを迎えるために、

アルバイトを通して、わたしにできることは何だろう?

これが現在の課題である。

婚活と終活は似てる?

わたしはこのアルバイトをしながら、常々
「結婚式はたくさんの会場を下見して、入念に確認をして、それまでに時間をかけるのに、
御葬式はパンフレットや費用のみで決めてしまうのは何故だろう」

「結婚相談所と終活相談所。似たような事をしているはずなのに、
お客様とパートナーになれないのは何故だろう」

と思っていた。

冠婚葬祭をひとつの企業が扱っているところも多く、使用する施設やサービス、
準備のプロセス(返礼品やお食事など)といった「決めなきゃいけないこと」の項目はよく似ている。

それなのに、御葬式となるとよく考えもせず、とりあえず費用だけ安く、近場で、と決める人が多い。

もちろんそれまでの治療費であったり、またご本人が遺族に負担をかけまいとする気遣いは理解できる。

それでも、あまりにも火葬式が増えている。

テレビで見るようなお通夜をして告別式をする一般的な葬儀は、どんどん姿を消しているのだ。

また身寄りがおらず、後見人が相談をしてくるケースもある。

ますます安価に手短になるばかりだ。

一方で、「葬式に高額の費用をかけるなら、生前に贅沢をしたい」

そう言ったお声も耳にする。

それはまさに終活であろう。

死を焦ることなく、ひとつひとつの欲を手放して、身仕舞をするのだ。

現代の日本は、男性は4人にひとり、女性は7人にひとりが結婚をしない世の中であるが、死は100%免れられない。

終活相談は、結婚相談よりももっと世間一般的なものになっても良いはずだ。

おわりに

このアルバイトを通し、営業電話の難しさや、会社の人との接し方、オフィスワークなど、
社会人として働くことを一足先に味わうことができ、貴重な経験であった。

また相談者と寄り添う心は、上部だけの優しい言葉ではなく、
相談者の立場になって想像することだが、果たして出来ていたのか。

おそらくその域には達しておらず、まだまだ経験の浅い若者と思われていたに違いない。

ただの葬儀相談所から、終活相談所へと利用者の意識が変わるよう、
残りの時間でトーク力を磨いていきたい。

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